はじめて税理士と顧問契約を結ぶ方必見!必要な準備や心構えについて
税理士との顧問契約を初めて検討する方にとって、最初の面談は少し緊張するかもしれません。
「今の経営状況を全部見せる必要があるのか」「帳簿が整理できていないけれど大丈夫なのか」「税理士に何をお願いすればいいのか分からない」と不安に感じる方もいるでしょう。
しかし、最初から完璧な状態にしておく必要はありません。
むしろ、現在の会社や事業の状況、困っていること、税理士にお願いしたいことを整理しておくことのほうが重要です。
税理士との顧問契約は長期的な関係になることが多いため、契約前にお互いの認識を合わせておくことで、後々の「思っていたサービスと違った」というミスマッチも防ぎやすくなります。
そもそも税理士との顧問契約とは?
税理士との顧問契約とは、一定の期間にわたって継続的に税務・会計などのサポートを受ける契約です。
税務申告が必要になったときだけ単発で依頼する方法もありますが、顧問契約を結ぶことで、日々の経理や税務について継続的に相談しやすくなります。
一般的には、次のような業務が顧問契約の対象になります。
- 税務に関する相談
- 月次試算表などの確認
- 記帳や会計処理に関するアドバイス
- 決算・税務申告
- 節税対策の相談
- 資金繰りや融資に関する相談
- 経営に関する相談
ただし、どこまで対応するかは税理士事務所ごとに異なります。
記帳代行や給与計算、年末調整、税務調査対応などが顧問料に含まれない場合もあるため、契約前に確認しておく必要があります。
税理士と顧問契約を結ぶ前に準備しておきたいこと
では、初めて税理士に相談する場合、どのような準備をしておけばよいのでしょうか。
現在の経営状況を整理する
まずは、自社や事業の現状を簡単に整理しておきましょう。
例えば、
- 会社名・事業内容
- 法人または個人事業の区分
- 売上規模
- 従業員数
- 事業を始めた時期
- 拠点や店舗数
- 今後の事業計画
などです。
税理士はこれらの情報をもとに、どのようなサポートが必要なのかを判断します。
まだ数字が正確にまとまっていなくても構いません。まずは現在の状況を大まかに伝えられるようにしておくとよいでしょう。
税理士に依頼したい業務を整理する
「税理士に全部お願いしたい」と考える方もいるかもしれませんが、何を依頼したいのかをある程度整理しておくと、契約内容を比較しやすくなります。
例えば、
「法人税・消費税の申告だけお願いしたい」
「記帳もすべて任せたい」
「毎月、会社の数字を見てもらいたい」
「融資や資金繰りも相談したい」
「将来の事業承継やM&Aについて相談したい」
などです。
税理士を「申告をしてくれる人」として利用したいのか、「経営パートナー」として活用したいのかによって、選ぶべき事務所も変わってきます。
これまでの申告・経理資料を用意する
現在の税務・会計状況を確認するため、次のような資料を求められることがあります。
- 過去の決算書
- 法人税・消費税などの申告書
- 総勘定元帳や仕訳帳
- 試算表
- 銀行口座の資料
- 借入金の資料
- 固定資産の一覧
- 給与・源泉徴収関係の資料
すべてが完璧に整理されている必要はありません。
むしろ、記帳が遅れている、過去の資料が足りないなどの問題がある場合は、そのまま税理士に伝えることが重要です。
「資料が整理できていないから相談しづらい」と感じる必要はありません。経理の整理そのものを税理士に依頼できるケースもあります。
税理士との初回面談で伝えておきたいこと
初回相談では、税理士側から会社の状況について質問されることが多いでしょう。
その際には、現在の課題だけでなく、「これからどうしたいのか」も伝えることをおすすめします。
現在困っていること
例えば、
- 経理がよく分からない
- 決算や申告が不安
- 税金を払いすぎていないか心配
- 資金繰りが厳しい
- 金融機関から融資を受けたい
- 会社の利益をもっと増やしたい
などです。
小さな悩みだと思うことでも、遠慮せずに相談しましょう。
税理士からすると、経営者が何を問題だと感じているかを知ることは、今後の支援方針を考えるうえで重要な情報になります。
今後やりたいこと
「今後、売上を伸ばしたい」「店舗を増やしたい」「従業員を採用したい」「法人化したい」「事業承継を考えている」など、将来の目標も伝えておきましょう。
現在の税務だけでなく、将来の事業展開も見据えた税理士を選ぶことで、長期的な相談がしやすくなります。
顧問契約を結ぶ前に確認したいポイント
税理士との契約では、料金だけでなくサービス内容もしっかり確認することが重要です。
顧問料に何が含まれているか
税理士の顧問料は、事務所によって料金体系が大きく異なります。
例えば、月額顧問料とは別に決算申告料が必要になる場合もあります。
また、記帳代行、年末調整、給与計算、税務調査対応などが別料金になっていることもあります。
そのため、
「月額いくらですか?」だけではなく、「その料金でどこまで対応してもらえますか?」
と確認することが大切です。
税理士本人がどこまで対応するか
税理士事務所では、スタッフが日常的な対応を行い、重要な相談は税理士が担当するという体制もあります。
そのため、「毎月の担当者は誰なのか」「税理士本人と直接話せるのか」「決算時には税理士が確認するのか」なども契約前に聞いておくと安心です。
連絡方法やレスポンス
経営上の問題は、いつ発生するか分かりません。
メール、電話、オンライン会議、チャットなど、どのような方法で相談できるのかを確認しましょう。
また、「急ぎの相談をした場合、どの程度の時間で返信してもらえるのか」なども、実際に顧問契約を始めると重要になってきます。
契約期間や解約条件
顧問契約を結ぶ際には、契約期間や解約に関するルールも確認しておきましょう。
例えば、解約を希望する場合に何か月前までに申し出る必要があるのか、契約終了時に決算資料などをどのように引き渡してもらえるのかなどです。
料金やサービスだけでなく、契約終了時の取り扱いまで確認しておくと、後々のトラブルを防ぎやすくなります。
税理士に見せにくい資料や問題があっても隠さない
初めて税理士と契約する際、多くの方が気にするのが「過去の失敗や問題をどこまで見せるべきか」という点です。
例えば、
「帳簿が何か月も遅れている」
「領収書が一部なくなっている」
「会社のお金と個人のお金が混ざっている」
「過去の申告について不安な点がある」
といった問題です。
このようなことがあっても、できるだけ正直に伝えることが大切です。
税理士は、現在の状況を正確に把握しなければ適切なアドバイスをすることができません。
問題を隠したまま契約するよりも、「今はこういう状態なので整理したい」と最初から伝えたほうが、税理士も対応方法を検討しやすくなります。
税理士との顧問契約後に経営者が意識したいこと
顧問契約を結んだら、税理士にすべて任せて終わり、というわけではありません。
税理士をうまく活用するためには、経営者側も一定の情報提供を行うことが重要です。
数字が変わったら早めに伝える
「店舗を増やす」「大きな設備を購入する」「新しい従業員を雇う」「大きな借入をする」など、大きな経営判断をするときは、できるだけ事前に税理士へ相談しましょう。
決定した後ではなく、決める前に相談することで、税務や資金繰りを踏まえた選択肢を検討できる場合があります。
毎月の数字を見る習慣を作る
税理士に顧問を依頼するのであれば、決算時だけ数字を見るのではもったいありません。
月次試算表などを確認しながら、「売上は計画通りか」「利益率はどうか」「経費が増えていないか」「資金は足りるか」などをチェックすると、経営改善に役立てられます。
税理士から説明を受けるだけでなく、経営者自身が数字を見る習慣を作ることも重要です。
分からないことを遠慮せず質問する
税理士は税務の専門家なので、専門用語を使うことがあります。
分からない言葉があったときは、遠慮せずに質問しましょう。
「それはどういう意味ですか?」
「会社にとってどんなメリットがありますか?」
「今やる必要がありますか?」
といった質問をすることで、税理士とのコミュニケーションが深まります。
はじめて税理士と契約する人がよくある失敗
税理士との顧問契約では、契約後に「こんなはずではなかった」と感じるケースもあります。
料金だけで選ぶ
税理士を選ぶ際、安さは重要な要素の一つですが、料金だけで判断するのはおすすめできません。
安い代わりに訪問回数が少ない、経営相談ができない、記帳代行は別料金など、サービス内容が異なる場合があります。
料金とサービスをセットで比較することが大切です。
「何でもやってくれる」と思い込む
税理士だからといって、経理、労務、法律、補助金、営業、マーケティングなど、すべての経営課題に対応できるわけではありません。
税理士の専門分野を超える相談については、弁護士、社会保険労務士、中小企業診断士など、他の専門家との連携が必要になる場合があります。
必要に応じて他の専門家を紹介してくれる税理士事務所であれば、より幅広い経営課題に対応しやすくなります。
会社が大きくなっても同じサービスのままだと思う
事業が成長すれば、税務や会計の課題も変化していきます。
例えば、従業員が増えれば給与や年末調整などの業務が増え、店舗や拠点が増えれば管理も複雑になります。
さらに、法人化、事業承継、M&Aなど、新たな専門知識が必要になることもあります。
そのため、現在の規模だけではなく、将来の事業拡大まで見据えて税理士を選ぶことが重要です。
税理士との顧問契約は「経営の相談相手」を選ぶことでもある
税理士との顧問契約を考える際、「税務申告をしてもらうための契約」と考える方も多いでしょう。
もちろん、税務申告は重要な業務です。
しかし、継続的に会社の数字を見てもらえる税理士がいるのであれば、経営上のさまざまな場面で相談できる相手として活用することもできます。
例えば、
- 今の利益率で問題ないか
- 設備投資をしても資金繰りは大丈夫か
- 銀行からいくらくらい借りるべきか
- 法人化するタイミングはいつか
- 事業承継をどう進めるか
- M&Aを検討すべきか
などです。
「税金を計算してもらうだけ」ではなく、「会社をどう成長させるかを一緒に考えてもらう」という使い方をすると、税理士との顧問契約の価値をより高められるでしょう。
はじめて税理士を選ぶなら比較すべきポイント
複数の税理士事務所で迷った場合には、次のような項目を比較してみましょう。
| 比較項目 | 確認したいポイント |
|---|---|
| 料金 | 月額顧問料、決算料、追加料金の有無 |
| 対応業務 | 記帳、申告、年末調整、税務調査、経営相談など |
| 対応体制 | 担当者、税理士本人との面談可否 |
| 連絡方法 | 電話、メール、オンライン、チャットなど |
| 得意分野 | 自社の業種、M&A、事業承継、資金調達など |
| 相性 | 相談しやすいか、説明が分かりやすいか |
特に重要なのは、自社が税理士に何を期待しているのかを明確にすることです。
「できるだけ安く申告だけ任せたい会社」と「経営について毎月相談したい会社」では、選ぶべき税理士は異なります。
まとめ
はじめて税理士と顧問契約を結ぶ場合、難しい準備を完璧に行う必要はありません。
まずは、現在の会社や事業の状況、経営上の悩み、今後やりたいこと、税理士に依頼したい業務を整理しておきましょう。
決算書や税務申告書などの資料があれば、現在の税務・会計状況もスムーズに確認してもらえます。ただし、帳簿が整理できていない、過去の資料に不足があるといった場合でも、隠さずに伝えることが大切です。
また、顧問料だけではなく、「何をどこまでやってくれるのか」「税理士本人と話せるのか」「追加料金は発生するのか」「契約終了時はどうなるのか」なども事前に確認しておきましょう。
そして、税理士を選ぶときは、価格だけでなく、自社の業種や規模、経営課題、将来の事業展開まで含めて考えることが重要です。
自社のことを理解し、税務だけでなく経営についても相談できる税理士と出会えれば、顧問契約は単なる申告業務の外注ではなく、会社を成長させるための大きな支えになります。
