【2026年最新版】事業承継税制の特例措置とは?適用要件や一般措置との違いは?
会社を後継者へ引き継ぐ際、大きな問題となりやすいのが「自社株式にかかる税金」です。
中小企業のオーナー経営者が保有する非上場株式は、会社の業績や資産状況によっては高額な評価額となることがあります。その株式を後継者へ贈与したり、相続によって引き継いだりすると、多額の贈与税・相続税が発生する可能性があります。
そこで活用を検討したいのが「事業承継税制」です。
法人版事業承継税制では、一定の要件を満たすことで、後継者が取得した非上場株式等に対応する贈与税・相続税について、納税を猶予してもらうことができます。さらに、後継者の死亡など一定の事由が生じた場合には、猶予されていた税額が免除される仕組みがあります。
なかでも「特例措置」は、一般措置よりも対象範囲が大幅に拡充されており、対象株式数の上限がなく、贈与税・相続税の納税猶予割合も100%となっている点が大きな特徴です。
【参考(国税庁)】https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4439.htm
ただし、「100%免除される制度」と誤解してはいけません。基本的にはまず納税が「猶予」され、その後、一定の条件を満たした場合に免除される制度です。また、特例措置には提出期限や適用期限も設けられています。
さらに、令和8年度税制改正によって、特例承継計画の提出期限は2027年(令和9年)9月30日までに延長されました。一方、株式の贈与・相続による取得についての特例措置の適用期限は2027年(令和9年)12月31日までです。
【参考(中小企業庁)】https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/business_succession_support_measures.html
ここでは、2026年時点の最新情報をもとに、事業承継税制の特例措置について、仕組み、一般措置との違い、具体的な適用要件、手続き、注意点まで詳しく解説します。
事業承継税制の特例措置とは?
事業承継税制は、会社の後継者が先代経営者などから非上場会社の株式等を贈与・相続によって取得した場合に、その株式等に対応する贈与税・相続税の納税を一定の条件のもとで猶予する制度です。
法人版事業承継税制には「一般措置」と「特例措置」の2種類があります。
特例措置は、平成30年度税制改正によって設けられた時限的な制度で、一般措置よりも大幅に拡充されています。
2026年時点では、特例措置について、
- 対象となる非上場株式等は議決権に制限のないものに限り、株数の上限は原則として全株式
- 贈与税・相続税の納税猶予割合は100%
- 最大3人の後継者への承継が可能
- 雇用確保要件が大幅に弾力化されている
といった大きな特徴があります。
ただし、適用するためには、会社や後継者、先代経営者等について細かな要件を満たす必要があります。
「税金がゼロになる制度」ではない
事業承継税制について、最も注意したいのが「税金がなくなる制度」という理解です。
特例措置を利用すると、対象となる株式に対応する贈与税・相続税について、その全額の納税が猶予されます。
しかし、最初から税金が発生しないわけではありません。
つまり、
「株式を後継者へ移す」
↓
「本来なら贈与税・相続税を納める」
↓
「一定の要件を満たして事業承継税制を利用する」
↓
「その税額の納税が猶予される」
↓
「一定の免除事由が発生すれば、猶予税額が免除される」
という仕組みです。
また、制度を利用した後に株式を売却したり、代表権を失ったりするなど、一定の「納税猶予期限の確定事由」に該当すると、猶予されていた税額の全部または一部を利子税とともに納付しなければならないことがあります。
【参考(国税庁)】https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0026007-042_01.pdf
したがって、「とりあえず申請すれば税金を払わなくて済む」という制度ではないことを理解しておきましょう。
2026年時点の特例措置の期限はいつ?
2026年に事業承継税制を検討するのであれば、期限について最初に確認しておく必要があります。
特例措置は、もともと10年間の時限措置として設けられた制度です。
現在は、
- 特例承継計画の提出期限:2027年(令和9年)9月30日
- 贈与・相続等による株式取得の適用期限:2027年(令和9年)12月31日
となっています。
【参考(中小企業庁)】https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/shoukei_enkatsu_zouyo_souzoku.html
特に注意したいのが、「計画提出の期限」と「実際の事業承継の期限」は別だということです。
2027年9月30日までに特例承継計画を提出し、そのうえで2027年12月31日までに贈与・相続等による承継を実施する必要があります。
また、令和8年度税制改正では、承継計画の確認申請期限が延長されましたが、特例措置そのものの適用期限が2027年12月31日を超えて延長されたわけではありません。
さらに、政府は適用期限到来後の制度のあり方について、世代交代や地域経済への影響、本制度の利用状況や課税の公平性などを踏まえて検討し、令和9年度税制改正で結論を得る方針を示しています。
【参考(中小企業庁)】https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/shinzoku/004/001.pdf
つまり、2027年末以降も現在と同じ特例措置が利用できると決まっているわけではありません。
特例措置と一般措置の違いを比較
法人版事業承継税制の特例措置と一般措置には、いくつか大きな違いがあります。
対象株式数
特例措置では、議決権に制限のない株式等について、対象となる株式数の上限がありません。
一方、一般措置では、原則として総株式数の最大3分の2までが対象となります。
【参考(国税庁)】https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4439.htm
そのため、自社株式の大部分を後継者へ引き継ぐ場合には、特例措置のほうが使いやすい制度設計となっています。
納税猶予割合
特例措置では、贈与税・相続税ともに100%が納税猶予の対象となります。
一方、一般措置では、贈与税は100%、相続税は80%です。
【参考(国税庁)】https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4439.htm
例えば相続税については、一般措置の場合、対象となる株式に対応する相続税の全額ではなく80%が納税猶予の対象となるため、一定額をその場で納付する必要があります。
後継者の人数
特例措置では、複数の株主から最大3人の後継者への承継が可能です。
一般措置では、複数の株主から1人の後継者への承継が基本となります。
【参考(国税庁)】https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4439.htm
後継者を複数人とする事業承継を考えている会社にとって、この違いは非常に大きなポイントです。
雇用確保要件
一般措置では、承継後5年間にわたり、原則として平均8割の雇用維持が必要です。
特例措置では、この要件が大幅に弾力化されており、雇用人数が8割を下回った場合でも、一定の報告を行い都道府県知事の確認を受けることで納税猶予を継続できる仕組みがあります。
【参考(国税庁)】https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4439.htm
人手不足や事業環境の変化によって従業員数を維持することが難しい中小企業にとって、非常に重要な違いです。
事業継続が困難になった場合の救済
特例措置には、事業の継続が困難となった一定の場合に、株式の譲渡対価などを基準として猶予税額を再計算し、一定の差額を免除する仕組みがあります。
一般措置には、このような特例措置はありません。
つまり、特例措置は「株式を引き継ぐ時点」だけでなく、承継後に経営環境が悪化した場合のリスクにも一定の配慮がなされています。
特例措置を利用できる会社の主な要件
特例措置は、すべての会社が利用できるわけではありません。
代表的な要件として、対象会社は、
- 非上場会社であること
- 中小企業者に該当すること
- 風俗営業会社に該当しないこと
- 一定の資産管理会社に該当しないこと
- 一定数以上の常時使用従業員がいること
などが求められます。
国税庁の特例措置のチェック項目でも、都道府県知事の認定、中小企業者、非上場会社、風俗営業会社ではないこと、一定の資産保有型会社・資産運用型会社ではないことなどが確認事項とされています。
【参考(国税庁)】https://www.nta.go.jp/publication/pamph/jigyo-shokei/houjin.htm
「中小企業者」であること
対象となる会社には、中小企業者であるという要件があります。
業種によって資本金・従業員数の基準が異なります。代表的な基準では、製造業その他は資本金3億円以下または従業員300人以下、卸売業は1億円以下または100人以下、小売業は5,000万円以下または50人以下、サービス業は5,000万円以下または100人以下などとなっています。
【参考(中小企業庁)】https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/download/shoukei_manual.pdf
ただし、業種区分や適用する制度によって細かな取り扱いがあるため、実際に利用する場合には自社が対象になるか個別に確認する必要があります。
資産管理会社には注意
事業承継税制には、いわゆる「資産管理会社」に関する要件があります。
国税庁の案内では、一定の有価証券、自ら使用していない不動産、現金・預金などの特定資産の保有割合が総資産の70%以上となる「資産保有型会社」や、これら特定資産から得られる運用収入が総収入金額の75%以上となる「資産運用型会社」などが示されています。一定の要件を満たす会社については例外があります。
【参考(国税庁)https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0026007-042_01.pdf
特に不動産や有価証券を多く保有している会社では、この点を早めに確認する必要があります。
「不動産会社だから対象外」という単純な話ではありませんが、資産構成によっては制度の適用可否が問題になるため注意しましょう。
特例承継計画の提出が必要
特例措置と一般措置を分ける大きなポイントが「特例承継計画」です。
特例措置を利用するためには、会社が後継者や承継時までの経営見通しなどを記載した特例承継計画を作成し、認定経営革新等支援機関の指導・助言を受けたうえで都道府県へ提出し、確認を受ける必要があります。
2026年現在、その提出期限は2027年9月30日です。
【参考(中小企業庁)】https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/shoukei_enkatsu_tokurei_yoshiki.html
認定経営革新等支援機関には税理士、公認会計士、金融機関、商工会・商工会議所などが含まれます。
【参考(中小企業庁)】https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/shoukei_enkatsu_zouyo_souzoku.html
なお、国税庁の最新資料では、贈与後であっても、円滑化法の認定申請時までは特例承継計画を提出できるとされています。
【参考(国税庁)】https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0026007-042_01.pdf
とはいえ、株式移転の直前になって慌てて準備するのではなく、事業承継を検討し始めた段階から計画を作っておくことが重要です。
後継者にも細かな要件がある
特例措置では、会社だけでなく後継者にも要件があります。
贈与による承継の場合、代表的な要件は、
- 贈与の時に会社の代表権を有していること
- 贈与の日に18歳以上であること
- 贈与の直前に会社の役員であること
- 後継者とその特別の関係がある者で、総議決権数の50%超を保有すること
- 後継者が1人の場合は、特別の関係がある者の中で最も多くの議決権を保有すること
などです。後継者が2人または3人の場合には、各後継者について議決権10%以上を保有し、かつ一定の関係者の中で最も多く保有することなどの要件があります。
【参考(国税庁)】https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0026007-042_01.pdf
2025年度改正で「役員3年以上」の要件が緩和された
ここは2026年現在、特に押さえておきたいポイントです。
以前の特例措置では、後継者について「贈与の日まで引き続き3年以上、会社の役員であること」が要件とされていました。
しかし、令和7年度税制改正により、この要件が見直され、現在の特例措置では「贈与の直前において会社の役員であること」が基本的な要件となっています。
【参考(財務省)】https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202505/202505c.html
つまり、後継者を役員に就任させてから3年間待たなければ利用できない、という従来の制約が大きく緩和されています。
これは、事業承継を急ぐ必要がある企業にとって非常に重要な改正です。
先代経営者にも要件がある
後継者だけではなく、株式を譲渡する先代経営者等にも要件があります。
贈与の場合、主な要件は、
- 過去に会社の代表権を有していたこと
- 贈与直前に、贈与者とその特別の関係がある者で総議決権数の50%超を保有していること
- その中で後継者を除いた最も多くの議決権を保有していること
- 贈与時点で会社の代表権を有していないこと
などです。
つまり、単に「社長が子どもに株式を渡す」というだけでは要件を満たさない可能性があります。
株主構成や役員構成を含めて、事前に確認することが重要です。
贈与で事業承継する場合の仕組み
贈与による事業承継では、先代経営者等から後継者へ非上場株式等を贈与します。
その際、一定数以上の株式を取得している必要があります。
後継者が1人の場合には、後継者が既に保有している株式数などを考慮しながら、一定以上の株式を取得する必要があります。
後継者が2人または3人の場合には、それぞれの後継者が10%以上の議決権を持ち、さらに贈与後の株式保有状況が一定の条件を満たす必要があります。
したがって、「1株だけ贈与して事業承継税制を利用する」といったことはできません。
どの程度の株式を誰に移すのかについて、株主構成全体を見ながら設計する必要があります。
相続による事業承継でも利用できる
事業承継税制は、生前贈与だけではありません。
先代経営者が亡くなった際、後継者が非上場株式等を相続または遺贈によって取得した場合にも、一定の要件を満たせば特例措置を利用できます。
相続の場合も、対象会社が非上場の中小企業者であること、都道府県知事の認定を受けること、後継者が必要な要件を満たすことなどが求められます。
また、相続開始から10か月以内に相続税の申告を行う必要があります。
【参考(国税庁)】https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4148.htm
後継者については、相続開始の翌日から5か月を経過する日に会社の代表権を有することなどの要件があり、相続開始直前に会社の役員であることも原則として求められます。ただし、特例承継計画に記載された後継者である場合など一定の例外があります。
贈与と相続、どちらで事業承継するべき?
事業承継税制を利用する際、「生前贈与と相続のどちらが有利なのか」と考える人も多いでしょう。
しかし、これは会社ごとに異なるため、一律に「贈与が有利」「相続が有利」とはいえません。
例えば、
- 先代経営者の年齢
- 現在の自社株式の評価額
- 今後の会社の成長見込み
- 後継者の決定状況
- 先代経営者がいつまで経営するか
- 他の相続財産の内容
- 相続人同士の関係
などによって判断が変わります。
特に、自社株式の評価額が今後上昇する可能性が高い会社では、生前贈与のタイミングが重要になることがあります。
一方、後継者がまだ決まっていない場合には、無理に株式を移すべきではありません。
事業承継税制は非常に強力な制度ですが、「制度が使えるから使う」のではなく、株式移転のタイミングそのものを慎重に検討することが大切です。
納税猶予を受けた後も手続きが続く
事業承継税制は、申告して終わりではありません。
特例措置の適用を受けた後も、一定期間にわたって株式等を保有し、事業を継続するなどの要件を満たしながら、継続的に報告・届出を行う必要があります。
中小企業庁によると、認定後は都道府県庁へ年次報告書を、税務署へ継続届出書を提出します。原則として税務申告後5年間は毎年行い、6年目以降は税務署への継続届出書を3年に一度提出する仕組みとなっています。
【参考(中小企業庁)】https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/shoukei_enkatsu_zouyo_souzoku.html
([中小企業庁]())
また、国税庁は、継続届出書を提出しなかった場合には、猶予されている贈与税等の全額と利子税を納付する必要があると案内しています。
したがって、制度適用後も税理士など専門家に継続してサポートしてもらうことが重要です。
要件を外れると猶予税額の納付が必要になることがある
事業承継税制の注意点として、制度を利用した後に一定の要件を満たさなくなると、猶予税額の全部または一部を納付しなければならない場合があります。
例えば、
- 対象株式を売却・贈与した
- 代表権を失った
- 資産管理会社に該当するようになった
- 継続届出書を提出しなかった
などです。
もちろん、すべてのケースで直ちに全額納付となるわけではなく、やむを得ない理由や、一定の例外規定もあります。
それでも、「一度申請してしまえば後は何もしなくてよい制度ではない」ということは必ず理解しておきましょう。
担保の提供も必要
納税が猶予されるとはいっても、原則として、猶予される贈与税・相続税額と利子税額に見合う担保を税務署へ提供する必要があります。
ただし、特例の適用を受ける非上場株式等のすべてを担保として提供した場合には、その株式自体によって必要な担保提供があったものとみなされる仕組みがあります。
「税金を払わなくていい=資金負担が一切ない」という意味ではないため、この点も事前に理解しておきましょう。
特例措置では相続時精算課税も使いやすい
特例措置には、相続時精算課税制度との関係でも一般措置とは異なる取り扱いがあります。
国税庁によると、特例措置では、60歳以上の者から18歳以上の者への贈与について、事業承継税制に関する特例との組み合わせで相続時精算課税を利用できる特別な取り扱いがあります。一般措置では、60歳以上の贈与者から18歳以上の推定相続人や孫への贈与という通常の相続時精算課税の対象関係が基本となります。
【参考(国税庁)】https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4439.htm
この点は、親族内承継だけでなく親族外の後継者への承継を検討する場合にも重要です。
ただし、相続時精算課税には独自の計算・申告ルールがあるため、事業承継税制だけを見て判断するのではなく、贈与税・相続税全体を踏まえて検討する必要があります。
事業承継税制の特例措置が向いている会社
特例措置はすべての会社に向いているわけではありませんが、例えば次のような会社では有力な選択肢になります。
- 非上場株式の評価額が高額になっている
- 後継者が決まっている
- 親族や役員・従業員などへの承継を予定している
- 株式の大部分を後継者へ移したい
- 複数の後継者を考えている
- 贈与税・相続税の負担が事業承継の大きな障害になっている
特に、自社株式の評価額が高く、「株式を引き継ぎたいものの税金を払うための現金が用意しにくい」という会社では、制度のメリットが大きくなる可能性があります。
反対に、慎重に検討したいケース
一方で、制度を利用すること自体が目的になってしまうと危険です。
例えば、
「後継者がまだ決まっていない」
「近いうちに会社を売却する可能性が高い」
「株式を自由に処分したい」
「会社の事業継続が不透明」
といった場合には、制度利用による制約も含めて慎重に考える必要があります。
M&Aや事業売却を前提としている場合、納税猶予があることだけを理由に株式を移転してしまうと、後の譲渡や税務に影響する可能性があります。
そのため、「税金が安くなるか」だけではなく、「承継後の会社をどうするのか」まで含めて制度を利用するか判断することが重要です。
税理士に相談するメリットは大きい
事業承継税制は、制度そのものを知っているだけでは十分ではありません。
会社の株主構成、自社株式の評価額、後継者の状況、役員構成、資産内容、将来的な事業計画などを確認しながら、制度を利用できるか判断する必要があります。
例えば税理士には、
- 自社株式の評価
- 贈与税・相続税の試算
- 特例措置の適用可否の確認
- 特例承継計画の作成支援
- 都道府県への認定手続きのサポート
- 税務申告
- 適用後の継続届出
- 将来の事業承継・M&Aまで含めた税務相談
などについて相談できます。
特に事業承継税制は、株式評価だけでなく相続税全体とのバランスも考える必要があります。
そのため、単に「事業承継税制を申請できる税理士」ではなく、自社株式の評価、相続、事業承継、組織再編、M&Aなどを総合的に相談できる税理士を選ぶことが重要です。
2026年から準備するなら早めの相談が重要
2026年現在、特例承継計画の提出期限は2027年9月30日です。
一見するとまだ時間があるように感じるかもしれません。
しかし、事業承継税制は、
「自社株式の評価」
↓
「株主構成の確認」
↓
「後継者の選定」
↓
「特例承継計画の作成」
↓
「認定経営革新等支援機関による指導・助言」
↓
「都道府県への確認申請」
↓
「実際の贈与・相続」
↓
「税務申告」
↓
「その後の継続報告」
というように、複数の手続きを経て利用する制度です。
特に、自社株式の評価額が高い会社では、株主構成の整理や役員就任、他の相続財産との関係などを事前に検討する必要があります。
そのため、「期限が近くなってから考える」のではなく、2026年の段階から専門家へ相談して準備を始めることが重要です。
まとめ
事業承継税制の特例措置は、中小企業の経営者が後継者へ非上場株式等を引き継ぐ際に、贈与税・相続税の負担を大幅に軽減できる可能性がある非常に重要な制度です。
特例措置では、対象となる議決権に制限のない株式等について株数の上限がなく、贈与税・相続税ともに100%の納税猶予を受けられるほか、最大3人の後継者への承継や、雇用確保要件の大幅な弾力化など、一般措置よりも有利な仕組みが用意されています。
一方で、「100%免除される制度」ではなく、まずは納税が猶予される制度であることには注意が必要です。
会社、先代経営者、後継者それぞれに細かな要件があり、制度利用後も株式の保有継続、事業継続、各種報告・届出などが必要になります。
また、2025年度税制改正では、特例措置における後継者の役員就任要件が見直され、従来の「贈与の日まで3年以上役員」という要件から、原則として「贈与の直前に役員であること」へと緩和されました。
【参考(財務省)】https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202505/202505c.html
さらに、令和8年度税制改正によって、特例承継計画の提出期限は2027年9月30日までに延長されました。ただし、特例措置による贈与・相続等の適用期限は2027年12月31日までであり、2027年末以降の制度のあり方については令和9年度税制改正で結論を得る方針となっています。
【参考(中小企業庁)】
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/business_succession_support_measures.html
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/shinzoku/004/001.pdf
そのため、事業承継を予定している経営者は、「まだ先の話だから」と後回しにせず、早めに自社株式の評価や株主構成、後継者、贈与・相続の時期などを整理しておくことが重要です。
事業承継税制は、単に税金を減らすためだけの制度ではありません。
会社を誰に、いつ、どのような形で引き継ぎ、承継後もどのように事業を継続していくのかという経営そのものに関わる制度です。
自社株式の評価や相続財産全体とのバランスまで考えると、制度の適用可否だけを判断するのではなく、税理士など専門家とともに事業承継全体を設計することが重要になるでしょう。
