税理士事務所の給料は低いって本当?年収相場と給料が上がる人・上がりにくい人の違い
今回も、転職・就職を検討している読者を意識して、「本当に給料は低いのか」という疑問から、年収の目安、給与が上がる人・上がりにくい人、事務所選びのポイントまで一つの記事で分かる構成にしています。
「税理士事務所は給料が低い」という話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
税理士を目指している人や、会計事務所・税理士事務所への転職を考えている人にとって、仕事内容だけでなく「実際にどのくらい稼げるのか」は非常に気になるところです。
確かに、税理士事務所の求人を見ると、未経験者や税理士補助の給与が一般企業と比べて高くないケースはあります。
一方で、税務・会計の専門性を高め、担当顧客を持ち、コンサルティングや相続、事業承継、M&Aなどの業務まで担当できるようになると、年収が大きく上がるケースもあります。
つまり、「税理士事務所は給料が低い」という一言だけでは、実態を正確に表しているとはいえません。
実際には、勤務する事務所の規模や地域、担当する仕事、資格の有無、経験年数などによって給与水準は大きく変わります。
ここでは、税理士事務所の給与事情や年収の目安、給料が上がりやすい人と上がりにくい人の違いについて詳しく解説します。
税理士事務所の給料は本当に低い?
まず、「税理士事務所の給料は低い」というイメージが生まれる理由として、税理士事務所には小規模な個人事務所が数多く存在することが挙げられます。
大企業のように多数の従業員を抱える税理士事務所ばかりではなく、税理士1人と数名の職員で運営されている事務所もあります。
こうした小規模事務所では、給与体系や昇給制度が大企業ほど整備されていない場合があります。
また、入社したばかりの税理士補助の場合、
- 会計ソフトへの入力
- 記帳代行
- 資料整理
- 年末調整
- 決算補助
- 申告書作成の補助
など、比較的定型的な業務からスタートすることも珍しくありません。
この段階では、専門資格を持っていなかったり、顧客を直接担当していなかったりすることから、給与が高く設定されにくい傾向があります。
しかし、経験を積んで業務範囲を広げていけば、給与水準が変わっていく可能性があります。
重要なのは、税理士事務所全体の給与を一括りにするのではなく、「どのような仕事をしている人なのか」を見ることです。
税理士事務所の年収相場はどのくらい?
税理士事務所の職員について、国が「税理士補助の平均年収は○万円」といった形で一律の公式統計を公表しているわけではありません。
また、「税理士」「税理士補助」「税務会計スタッフ」「会計スタッフ」などでは仕事内容や資格要件が異なるため、それぞれの給与水準を分けて考える必要があります。
求人情報などを見ると、未経験・経験の浅いスタッフでは年収300万円台から400万円前後、経験を積んだ税務会計スタッフでは400万円台から600万円程度の求人が見られます。
例えば、現在の求人では、税理士補助・会計業務で年収400万円~550万円、別の税理士補助・会計業務では年収450万円~650万円という募集があります。([doda.jp](https://doda.jp/DodaFront/View/JobSearchDetail/j_jid__3012520260/?utm_source=chatgpt.com))([doda.jp](https://doda.jp/DodaFront/View/JobSearchDetail/j_jid__3012830461/?utm_source=chatgpt.com))
また、求人情報をもとにしたIndeedの推定値では、税理士補助の年収が329万円程度とされる事務所がある一方、435万円、472万円、479万円程度とされる事務所もあり、事務所による差がかなり大きいことが分かります。([indeed.com](https://jp.indeed.com/cmp/%E9%88%B4%E6%9C%A8%E5%81%A5%E5%BF%97%E7%A8%8E%E7%90%86%E5%A3%AB%E4%BA%8B%E5%8B%99%E6%89%80/salaries/%E7%A8%8E%E7%90%86%E8%A3%9C%E5%8A%A9?utm_source=chatgpt.com))([indeed.com](https://jp.indeed.com/cmp/%E7%A8%8E%E7%90%86%E6%B3%95%E4%BA%BA%E3%83%9E%E3%83%83%E3%83%81%E3%83%9D%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%88-2/salaries/%E7%A8%8E%E7%90%86%E8%A3%9C%E5%85%A5?utm_source=chatgpt.com))([indeed.com](https://jp.indeed.com/cmp/%E7%A8%8E%E7%90%86%E6%B3%95%E4%BA%BA%E4%B8%AD%E9%87%8E%E4%BC%9A%E8%A8%88%E4%BA%8B%E5%8B%99%E6%89%80/salaries/%E7%A8%8E%E7%90%86%E8%A3%9C%E5%8A%A9?utm_source=chatgpt.com))
したがって、税理士補助の年収を考える場合は、あくまで目安として、
- 未経験・新人:300万円~400万円程度
- 経験者・担当者:400万円~600万円程度
- 主任・マネージャー層:500万円~800万円程度
- 高度な専門業務・管理職:600万円以上
といった幅で考えるとイメージしやすいでしょう。
ただし、これは市場全体の厳密な平均ではなく、求人情報などから見たおおよその目安です。地域、事務所規模、資格、経験、業務内容によって大きく変わります。
税理士資格を取得すると年収は大きく変わる?
税理士事務所で働く場合、税理士資格を持っているかどうかは給与に大きく影響する可能性があります。
税理士として登録し、税務の専門家として顧客を担当できるようになると、税理士補助や無資格スタッフとは業務の範囲が変わってきます。
厚生労働省のjob tagでは、税理士の賃金について、令和7年賃金構造基本統計調査をもとにした全国の年収が810.8万円と掲載されています。これは「税理士」という職種の統計であり、税理士補助や一般的な会計事務所職員の給与を示す数字ではありません。([shigoto.mhlw.go.jp](https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/92))
この違いは非常に重要です。
「税理士事務所で働いている人の平均年収」と「税理士資格を持って働く人の年収」は同じではありません。
そのため、税理士を目指している人にとっては、単純な現在の給与だけではなく、資格取得後にどのような仕事を任せてもらえる事務所なのかを見ることが大切です。
税理士事務所で給料が上がる人の特徴
では、税理士事務所で給料が上がりやすい人には、どのような特徴があるのでしょうか。
担当できる業務の範囲が広い
最も分かりやすいのが、単純な入力作業だけではなく、より専門性の高い仕事を担当できる人です。
例えば、
- 巡回監査
- 顧客との面談
- 決算・申告
- 税務相談
- 資金繰り相談
- 経営相談
- 相続税申告
- 事業承継
- M&A支援
など、業務の難易度が上がるほど、事務所にとって重要な人材になりやすくなります。
単に「仕事が早い人」よりも、顧客から相談を受けて、自分で考えて対応できる人になることが、昇給につながりやすいポイントです。
顧客対応ができる
税理士事務所の仕事は、パソコンに向かって数字を処理するだけではありません。
税理士事務所にとって、顧問先との関係を維持し、新たな相談や仕事につなげることは非常に重要です。
そのため、
「経営者と話すことができる」
「専門的な内容を分かりやすく説明できる」
「顧客の悩みを聞き出せる」
といったコミュニケーション能力は大きな武器になります。
特に担当顧客を持つようになると、自分の仕事が事務所の売上に直接つながるようになります。
そのため、「顧客から信頼されている担当者」になることが、給与アップを目指すうえで重要になります。
資格を取得している・資格取得を目指している
税理士試験の科目合格や簿記資格なども、専門性を示す材料になります。
特に税理士を目指している場合、税法や会計の勉強を継続していること自体が、将来的な業務範囲の拡大につながります。
また、事務所によっては資格手当を設けている場合があります。
ただし、資格を取れば必ず大幅に給料が上がるわけではありません。
重要なのは、資格によって得た知識を実務で活用できるようになることです。
専門分野を持っている
税理士事務所では、「何でもある程度できます」という人よりも、「この分野なら任せられる」という専門性を持った人が評価されることがあります。
例えば、
- 相続税・資産税
- 医療・介護
- 不動産
- 建設業
- 飲食業
- IT・スタートアップ
- 事業承継・M&A
などです。
専門分野を持つと、その分野の顧客を任せてもらいやすくなり、結果として担当業務の難易度や付加価値が上がっていく可能性があります。
新規顧客の獲得や売上にも貢献できる
税理士事務所によっては、新規顧客の開拓や紹介につながる活動を評価するケースもあります。
実際、求人によっては、新規顧客を獲得した場合に年間報酬の一定割合を給与として支給する制度を設けている事務所もあります。([doda.jp](https://doda.jp/DodaFront/View/JobSearchDetail/j_jid__3012830461/?utm_source=chatgpt.com))
もちろん、営業を評価するかどうかは事務所によって異なります。
しかし、
「顧客を獲得できる」
「新しい案件を紹介してもらえる」
「既存顧客から追加業務につなげられる」
といった能力がある人は、事務所にとって売上を生み出せる人材となります。
そのため、将来的に高い給与を目指すのであれば、会計・税務だけでなく、顧客との関係を仕事につなげる力も身につけておくとよいでしょう。
逆に給料が上がりにくい人の特徴
一方で、長く税理士事務所に勤めていても給与があまり上がらない人もいます。
入力や記帳だけで仕事が完結している
記帳やデータ入力は税理士事務所にとって重要な仕事ですが、それだけでは業務の付加価値を上げにくい場合があります。
AIやクラウド会計などの普及によって、定型的な入力作業の効率化も進んでいます。
今後は、単に「数字を入力できる」ことよりも、
「数字を見て何が問題なのか分かる」
「顧客に改善策を説明できる」
といった能力が重要になっていくでしょう。
顧客との会話が苦手
専門知識が豊富でも、顧客とのコミュニケーションができなければ、担当者として任せられる仕事の範囲が限られることがあります。
税理士事務所では、経営者から直接相談を受けることが多いため、専門知識を相手に合わせて説明する能力が重要です。
税法の知識だけではなく、「分かりやすく伝える力」を鍛えることが給与アップにもつながります。
新しい知識を学ばない
税制は毎年のように改正されます。
そのため、入社した頃に身につけた知識だけで何年も仕事を続けるのは難しいでしょう。
例えば、インボイス制度や電子帳簿保存法など、近年も税務・会計を取り巻く制度は変化しています。
新しい制度を学ぶ習慣がないと、対応できる仕事の範囲が狭くなります。
逆に、新しい制度をいち早く理解して顧客へ説明できる人は、事務所にとって価値の高い存在になります。
事務所の規模によっても給与は変わる
税理士事務所の給与を考えるときには、どのような事務所に勤務するかも重要です。
小規模な個人事務所では、所長税理士との距離が近く、幅広い仕事を経験できる場合があります。
その一方で、給与テーブルや役職制度が明確ではなく、昇給幅も事務所によって大きく異なる場合があります。
一方、中堅以上の税理士法人では、
- ジュニア
- スタッフ
- シニア
- マネージャー
- パートナー
など、一定のキャリアステップを設けている場合があります。
ただし、大手・中堅だから必ず給与が高い、小規模だから給与が低いというわけではありません。
実際には、事務所の収益構造や評価制度、担当する顧客層などによって大きく異なります。
そのため、転職する際は「事務所の規模」だけではなく、どのようなキャリアを積めば給与が上がるのかを確認することが大切です。
地域によっても給与水準は変わる
税理士事務所の給与は、勤務地によっても違いがあります。
都市部では企業数が多く、税務・会計の需要が大きい一方、税理士や会計人材をめぐる採用競争もあります。
また、地方の場合は給与水準が低めになることがある一方、地域の中小企業を深く担当できる環境があるなど、一概に給与だけで良し悪しを判断することはできません。
そのため、求人を見るときは、
「勤務地」
「顧客の業種」
「事務所の規模」
「担当件数」
「資格手当」
「賞与」
などをまとめて確認する必要があります。
税理士法人だから給料が高いとは限らない
「税理士法人」と聞くと、個人の税理士事務所より給与が高いイメージを持つ人もいるかもしれません。
しかし、税理士法人という組織形態だけで給与水準が決まるわけではありません。
税理士法人にも大規模な法人から小規模な法人まであり、給与体系もそれぞれ異なります。
むしろ重要なのは、
- どのような顧客を担当するか
- どこまで仕事を任せてもらえるか
- 評価制度があるか
- 資格取得を支援しているか
- 管理職へのキャリアパスがあるか
- 専門分野を身につけられるか
といった点です。
「税理士法人だから安心」と決めつけず、実際の求人条件やキャリア制度を確認しましょう。
給料を上げたいなら「何を担当できるか」を確認する
税理士事務所への転職を考えている人が給与面で最も確認したいのは、「入社後にどこまで仕事を任せてもらえるのか」です。
例えば、
「記帳代行だけを担当する」
「申告書の作成補助まで担当する」
「顧客との面談を担当する」
「決算・申告を一人で担当する」
「経営相談まで行う」
では、求められる能力が大きく異なります。
転職前には、
「何年くらいで担当を持てるのか」
「税務申告まで任せてもらえるのか」
「顧客訪問はあるのか」
「相続や事業承継などの専門業務に携われるのか」
などを確認しておきましょう。
「入社時の年収」だけではなく、「3年後・5年後にどんな仕事ができるようになるのか」を見ることが重要です。
税理士事務所で年収を上げるためのキャリアモデル
税理士事務所で働きながら年収アップを目指す場合には、いくつかの方向性があります。
例えば、一般的な税務会計スタッフとして経験を積み、
「入力担当」
↓
「担当者」
↓
「シニアスタッフ」
↓
「マネージャー」
というように管理・顧客対応の範囲を広げる方法があります。
また、
「税務会計」
↓
「相続・資産税」
↓
「事業承継・M&A」
など、専門分野を深掘りする方法もあります。
さらに、税理士試験に合格して税理士資格を取得し、税理士として業務を行うことで、より高い専門性を持ったキャリアを目指すこともできます。
重要なのは、「作業を速くする」だけではなく、「より難しい仕事を任せてもらえる人になる」ことです。
転職時は「昇給の仕組み」を必ず確認しよう
給与を重視するのであれば、求人票の初年度年収だけでなく、昇給制度についても確認しましょう。
例えば、
「毎年一定額が昇給する」
「評価によって昇給幅が変わる」
「担当件数によって手当が付く」
「資格取得で手当が付く」
「新規顧客獲得でインセンティブが付く」
など、事務所によって仕組みは異なります。
特に重要なのが、「どのような成果を出すと給与が上がるのか」が明確かどうかです。
評価基準が分かりやすい事務所であれば、自分が何を身につければ給与アップにつながるのかを考えやすくなります。
給料だけで税理士事務所を選ぶのは危険
もちろん給与は重要ですが、税理士事務所への転職では、給料だけを見て勤務先を決めるのは避けたほうがよいでしょう。
例えば、初年度の給与が高くても、
「単純作業しか経験できない」
「顧客対応を任せてもらえない」
「資格取得を支援してもらえない」
「残業が多い」
「昇給制度がない」
という環境では、長期的なキャリア形成が難しくなる可能性があります。
反対に、最初の給与がそれほど高くなくても、
「幅広い業務を経験できる」
「早い段階から担当を持てる」
「相続やM&Aなどの専門分野を学べる」
「税理士試験の勉強をサポートしてもらえる」
といった事務所であれば、数年後に市場価値を高められる可能性があります。
そのため、税理士事務所への転職では、現在の年収と将来的な成長機会の両方を見ることが大切です。
まとめ
「税理士事務所は給料が低い」という話は、すべての事務所に当てはまるわけではありません。
税理士補助や未経験者の場合、年収300万円台からスタートする求人もありますが、経験を積んで顧客を担当し、決算・申告や経営相談まで対応できるようになると、年収400万円~600万円程度の求人も見られます。さらに、管理職や高度な専門業務を担当することで、それ以上の年収を目指せる場合もあります。([doda.jp](https://doda.jp/DodaFront/View/JobSearchDetail/j_jid__3012520260/?utm_source=chatgpt.com))([doda.jp](https://doda.jp/DodaFront/View/JobSearchDetail/j_jid__3012830461/?utm_source=chatgpt.com))
また、税理士資格を取得すれば、税理士補助とは異なる専門職としてキャリアを広げることができます。厚生労働省のjob tagでは、税理士の年収は令和7年賃金構造基本統計調査をもとに全国810.8万円とされていますが、これはあくまで「税理士」という職種の統計であり、一般的な税理士事務所職員の給与とは分けて考える必要があります。([shigoto.mhlw.go.jp](https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/92))
税理士事務所で給料を上げやすい人には、顧客を担当できる、専門分野を持っている、難しい業務に対応できる、資格を取得している、顧客との関係を事務所の売上につなげられるといった共通点があります。
反対に、入力や記帳などの定型業務だけで仕事が完結し、専門知識や顧客対応のスキルを身につけないままだと、給与が上がりにくくなる可能性があります。
これから税理士事務所へ就職・転職するのであれば、求人票の「初任給」や「想定年収」だけを見るのではなく、入社後にどのような仕事を任せてもらえるのか、どのようなスキルを身につけられるのか、何をすれば昇給できるのかまで確認することが重要です。
税理士事務所で長く働きながら年収アップを目指すのであれば、単純な事務作業をこなすだけではなく、税務・会計の専門性を高め、顧客から相談される担当者へと成長していくことが大きなポイントになるでしょう。
